🎙️ 葡萄酒の味の表現の仕方

マテ貝の寿司


🎙️「寿司とワインの美学」 は、日本の伝統的な鮨とフランスの自然派ワインが織りなす、食の新たな調和を探求するポッドキャストです。素材の持つ力、美しさ、そして文化の背景を尊重しながら、両者の出会いが生み出す芸術的な世界を紐解きます。料理人、ワイン生産者、アーティストたちとの対話を通じて、味わいの奥深さや食の哲学に迫ります。

「ジュラとサヴォワのワイン – Persan と Mondeuse、そして和食との組み合わせ」

みなさん、こんにちは。
今日はフランス東部、アルプスのふもとに広がる ジュラとサヴォワのワイン についてお話ししながら、
どうやって寿司や日本料理と合わせることができるかもご紹介します。

この地域は山や湖に囲まれた自然豊かな土地で、土壌や気候がとても特徴的です。
だからこそ、他ではなかなか味わえない個性的なワインが育つんですね。

ジュラやサヴォワのワインの大きな特徴は、透明感と生き生きとした酸味です。
山岳ワインらしい軽やかさと同時に、しっかりした力強さも持っています。
この性質が、繊細な日本料理や寿司の味わいと、とてもよく調和するんです。

まずは ペルサン(Persan) から。
赤ワインは深いルビー色で、香りを嗅ぐとカシスやブラックベリーなど黒い果実の香り、
そしてスパイスのニュアンスも感じられます。
味わいは、タンニンがしっかりしていますが酸味とよく調和し、時間が経つと複雑さが増していきます。

和食との相性でいうと、ペルサンはやや濃厚な料理によく合います。
たとえば、

  • マグロの赤身やトロの寿司
  • 軽く味付けした和牛料理
  • そして やさしい味わいの和チーズ などにもぴったりです。

次に モンドゥーズ(Mondeuse) です。
「サヴォワのシラー」と呼ばれることもあります。
色は濃く、香りはスミレやブラックチェリー、さらに胡椒のようなスパイスを感じます。
口当たりはタンニンが力強いけれど、しなやかさもあり、野性味とエレガンスを両立しています。
熟成すると、森の土や下草のような香りが出て、奥行きが増していきます。

モンドゥーズと和食を合わせるなら、

  • サーモンや軽く燻製したサバの寿司
  • カニや貝類を使った料理
  • そして 根菜のローストや漬物 など、土の香りを感じる食材にも合います。

ジュラやサヴォワのワインは大量生産ではなく、小さな畑で手間をかけて育てられています。
だから、一口飲めばその土地の息づかいや造り手の想いを感じることができるんです。

和食とワインを楽しむことは、単に食べたり飲んだりするだけではありません。
自然と人の歴史、そして味わいの哲学を体験すること なんですね。

次にワインを選ぶときは、ぜひペルサンやモンドゥーズのボトルを手に取って、
寿司の繊細な味わいと山のワインの個性が出会う瞬間 を楽しんでみてください。

Hisayuki Takeuchi

竹内寿幸(たけうち ひさゆき)

私は愛媛県西予市、山間の農家に生まれました。
子どものころから畑に出ては、野菜や米の成長を見つめ、季節の変化に心を動かされてきました。食材への敬意や、自然との対話というものは、この頃から私の中にあったのだと思います。

14歳で料理の世界に入り、今治で西洋料理の修行を始めました。その後、東京に移り、水口多喜男氏のフランス料理店で本格的な料理の道を学びました。料理人としてだけでなく、人としても大きく成長できた大切な時期でした。

また、シェフパティシエの鈴木一八氏のもとでは、洋菓子の世界にも触れました。素材の組み合わせや、味の余韻、美しさをどう形にするか──この経験が、後の私の創作に大きな影響を与えてくれました。

「KAISEKI」という名の“研究所”パリで始めて

1985年にフランスへ渡りました。当初は作家を志していましたが、やはり私の手は自然と食材を求めていたようで、料理人としての歩みを再び進めることになります。

1999年、パリ15区に「KAISEKI」という名の小さな店を開きました。私にとってこの店は、レストランというより、料理の研究所でした。オーガニック食材、自然派ワイン、日本の器、空間美──すべてが一つの芸術として響き合う場を作りたかったのです。

私の料理は、伝統的な日本料理を軸にしながら、フランスの素材や技法も柔軟に取り入れています。たとえば、抹茶とオリーブオイルを合わせたソースは、デザートにも料理にも応用できる独自の世界を生み出しました。

また、「Maki Pikapika」や「Maki Dondon」など、果物や西洋の素材を大胆に取り入れた寿司も生まれました。遊び心と深い美意識の共存こそ、私が目指す“kaiseki”の姿なのです。

教えること、伝えること

2001年からは「エコール・ド寿司」という学校を始めました。日本料理は、技術だけではなく、素材の選び方、季節感、空気のような“間”を含んだ文化だと私は思っています。

だからこそ、プロ・アマ問わず、目の前でともに包丁を握りながら、一つひとつの所作の意味を丁寧に伝えています。生徒の中には、フランスで寿司店を開業された方も多く、日本文化の担い手として誇りに思っています。

私が大切にしていること

料理とは、日々変わっていくもの。
完成ではなく、更新され続けるべき芸術です。

私の料理哲学には、「永続的な美の追求」があります。
それは、食材、器、空間、すべてを通して人の心を動かし、癒すものであるべきだと信じています。

これからについて

引退を迎える今でも、料理への情熱は変わりません。
これからは、もっと多くの人に、日本料理の本質──“素材への敬意”“時間の流れ”“手仕事の意味”──を伝えていきたいと思っています。

オンライン講座や書籍、トークイベントなど、形を変えてでも「本物の味」や「美しい心」を広めていく活動を続けていくつもりです。

ご縁があれば、ぜひ私の料理や考え方に触れていただければ嬉しく思います。ありがとうございました。

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