Wagyu

和牛の肉の格付けは、日本食肉格付協会が定めた基準に基づいており、「歩留まり等級」と「肉質等級」の2つの指標で表されます。

1. 歩留まり等級

歩留まりとは、枝肉からどれだけ可食部分(肉として利用できる部分)が取れるかを示します。歩留まり等級は以下の3段階で評価されます:

  • A等級:標準よりも歩留まりが良い(72%以上)
  • B等級:標準的な歩留まり(69%~72%)
  • C等級:標準よりも歩留まりが低い(69%未満)

2. 肉質等級

肉質等級は、肉の見た目、脂肪の質、肉の締まりやきめ、脂肪の分布(霜降りの度合い)を評価して決定します。肉質等級は1から5の5段階で評価され、数字が高いほど品質が良いことを示します。

評価の詳細な基準は以下の通りです:

  • 等級1:肉質が非常に劣る
  • 等級2:肉質が劣る
  • 等級3:肉質が標準的
  • 等級4:肉質が優れている
  • 等級5:肉質が非常に優れている(最高ランク)

例:和牛の格付けの表記方法

和牛の格付けは「歩留まり等級」+「肉質等級」の形式で表されます。例えば:

  • A5:歩留まりが非常に良く、肉質が最高ランク
  • B3:標準的な歩留まりで、肉質が標準的
  • C2:歩留まりが低く、肉質が劣る

アカデミー美味し道

Hisayuki Takeuchi

竹内寿幸(たけうち ひさゆき)

私は愛媛県西予市、山間の農家に生まれました。
子どものころから畑に出ては、野菜や米の成長を見つめ、季節の変化に心を動かされてきました。食材への敬意や、自然との対話というものは、この頃から私の中にあったのだと思います。

14歳で料理の世界に入り、今治で西洋料理の修行を始めました。その後、東京に移り、水口多喜男氏のフランス料理店で本格的な料理の道を学びました。料理人としてだけでなく、人としても大きく成長できた大切な時期でした。

また、シェフパティシエの鈴木一八氏のもとでは、洋菓子の世界にも触れました。素材の組み合わせや、味の余韻、美しさをどう形にするか──この経験が、後の私の創作に大きな影響を与えてくれました。

「KAISEKI」という名の“研究所”パリで始めて

1985年にフランスへ渡りました。当初は作家を志していましたが、やはり私の手は自然と食材を求めていたようで、料理人としての歩みを再び進めることになります。

1999年、パリ15区に「KAISEKI」という名の小さな店を開きました。私にとってこの店は、レストランというより、料理の研究所でした。オーガニック食材、自然派ワイン、日本の器、空間美──すべてが一つの芸術として響き合う場を作りたかったのです。

私の料理は、伝統的な日本料理を軸にしながら、フランスの素材や技法も柔軟に取り入れています。たとえば、抹茶とオリーブオイルを合わせたソースは、デザートにも料理にも応用できる独自の世界を生み出しました。

また、「Maki Pikapika」や「Maki Dondon」など、果物や西洋の素材を大胆に取り入れた寿司も生まれました。遊び心と深い美意識の共存こそ、私が目指す“kaiseki”の姿なのです。

教えること、伝えること

2001年からは「エコール・ド寿司」という学校を始めました。日本料理は、技術だけではなく、素材の選び方、季節感、空気のような“間”を含んだ文化だと私は思っています。

だからこそ、プロ・アマ問わず、目の前でともに包丁を握りながら、一つひとつの所作の意味を丁寧に伝えています。生徒の中には、フランスで寿司店を開業された方も多く、日本文化の担い手として誇りに思っています。

私が大切にしていること

料理とは、日々変わっていくもの。
完成ではなく、更新され続けるべき芸術です。

私の料理哲学には、「永続的な美の追求」があります。
それは、食材、器、空間、すべてを通して人の心を動かし、癒すものであるべきだと信じています。

これからについて

引退を迎える今でも、料理への情熱は変わりません。
これからは、もっと多くの人に、日本料理の本質──“素材への敬意”“時間の流れ”“手仕事の意味”──を伝えていきたいと思っています。

オンライン講座や書籍、トークイベントなど、形を変えてでも「本物の味」や「美しい心」を広めていく活動を続けていくつもりです。

ご縁があれば、ぜひ私の料理や考え方に触れていただければ嬉しく思います。ありがとうございました。

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