L’algue nori : dix façons de la préparer

海藻料理

Elisabeth TAKEUCHI



ヒサの空間「懐石」のオープンキッチンには、軽やかな古い木箱――かつては緑茶の容れ物であったもの――が、カウンターの上に堂々と置かれている。
その小箱の中には、あらかじめ裁たれた海苔の葉が大切に収められており、寿司巻きを巻くため、いつでも使えるようにと料理人の手によって守られている。それらこそ、ヒッサを名声へと導いた寿司の源である。
指先ひとつで蓋を押し上げると、艶を帯びた濃緑の帯が数枚、紙片のごとく現れる。米と様々な食材とを海苔と重ね合わせることで、料理人の豊かな想像力は、たちまち食の創造へと形を成し始める。
ヒッサが用いるのは三種の海苔――焼き海苔の緑、乾燥海苔の紫や黒、味付け海苔の漆黒の艶――である。彼はそのとろけるような舌触り、繊細さ、軽快な歯ごたえ、ほのかな甘み、そして潮の香と草木の調べが交錯する風味を深く愛している。
言うまでもなく、上質なスサビノリ(Porphyra tenera)は、国外にほとんど流通しない贅沢品である。
最も名高い産地は東京、広島、神奈川である。
とりわけ江戸の浅草においては、和紙製造の技法が確立され、さらに同じ原理を応用して、一枚21×19センチの食用の「紙」が発明されたのである。
この製法はやがて中国に伝わり、今日では中国が世界最大の生産国となり、また韓国にも広まった。
しかし、真に尊ばれるのは、やはり日本の海苔にほかならない。
Elisabeth TAKEUCHI

Hisayuki Takeuchi

竹内寿幸(たけうち ひさゆき)

私は愛媛県西予市、山間の農家に生まれました。
子どものころから畑に出ては、野菜や米の成長を見つめ、季節の変化に心を動かされてきました。食材への敬意や、自然との対話というものは、この頃から私の中にあったのだと思います。

14歳で料理の世界に入り、今治で西洋料理の修行を始めました。その後、東京に移り、水口多喜男氏のフランス料理店で本格的な料理の道を学びました。料理人としてだけでなく、人としても大きく成長できた大切な時期でした。

また、シェフパティシエの鈴木一八氏のもとでは、洋菓子の世界にも触れました。素材の組み合わせや、味の余韻、美しさをどう形にするか──この経験が、後の私の創作に大きな影響を与えてくれました。

「KAISEKI」という名の“研究所”パリで始めて

1985年にフランスへ渡りました。当初は作家を志していましたが、やはり私の手は自然と食材を求めていたようで、料理人としての歩みを再び進めることになります。

1999年、パリ15区に「KAISEKI」という名の小さな店を開きました。私にとってこの店は、レストランというより、料理の研究所でした。オーガニック食材、自然派ワイン、日本の器、空間美──すべてが一つの芸術として響き合う場を作りたかったのです。

私の料理は、伝統的な日本料理を軸にしながら、フランスの素材や技法も柔軟に取り入れています。たとえば、抹茶とオリーブオイルを合わせたソースは、デザートにも料理にも応用できる独自の世界を生み出しました。

また、「Maki Pikapika」や「Maki Dondon」など、果物や西洋の素材を大胆に取り入れた寿司も生まれました。遊び心と深い美意識の共存こそ、私が目指す“kaiseki”の姿なのです。

教えること、伝えること

2001年からは「エコール・ド寿司」という学校を始めました。日本料理は、技術だけではなく、素材の選び方、季節感、空気のような“間”を含んだ文化だと私は思っています。

だからこそ、プロ・アマ問わず、目の前でともに包丁を握りながら、一つひとつの所作の意味を丁寧に伝えています。生徒の中には、フランスで寿司店を開業された方も多く、日本文化の担い手として誇りに思っています。

私が大切にしていること

料理とは、日々変わっていくもの。
完成ではなく、更新され続けるべき芸術です。

私の料理哲学には、「永続的な美の追求」があります。
それは、食材、器、空間、すべてを通して人の心を動かし、癒すものであるべきだと信じています。

これからについて

引退を迎える今でも、料理への情熱は変わりません。
これからは、もっと多くの人に、日本料理の本質──“素材への敬意”“時間の流れ”“手仕事の意味”──を伝えていきたいと思っています。

オンライン講座や書籍、トークイベントなど、形を変えてでも「本物の味」や「美しい心」を広めていく活動を続けていくつもりです。

ご縁があれば、ぜひ私の料理や考え方に触れていただければ嬉しく思います。ありがとうございました。

Articles recommandés

Laisser un commentaire

Votre adresse e-mail ne sera pas publiée. Les champs obligatoires sont indiqués avec *

日本語ja日本語日本語